GOURMET

#06

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#06

緑から夜景へ。非日常を1日で満喫
したいスペシャルな日こそ「ラグジュアリーホテル」へ

汐留 コンラッド東京 風花

付き合って5年目。
すっかりこなれた雰囲気が身についた2人だけれど、どうも彼女は最近、それはそれで不満な様子。
週末はどちらかの自宅で過ごし、気が向けば打ちっぱなしや自分のメンバーコースでのラウンド、というのが定番。
食事は平日がオール外食なぶん、週末は家でまったり…が気に入っているが、どうやらそれは自分だけのようだ。

ゴルフコンペで知り合い、グループ交際の期間が長かったぶん、友達感覚がどこか抜けないのかもしれない。
でもそこが一緒にいて気を使わずラクだし、落ち着く理由だと思う。
グループの仲間も最近、次々と結婚し、ことあるごとに「2人はいつ?」と聞かれることが増えた。自分としてもそろそろかなと思い、タイミングを見計らっていたのだ。

決戦は、来週末の彼女の誕生日。
いつものラウンド→家でまったりコースだと思わせておいて…、向かうは2人が最初に夜を過ごした思い出のホテル、コンラッド東京。

自分たちの住むエリアからは少し離れたウォーターフロントに位置しているのも非日常感があっていい。

ラウンド帰りの車中、「今日の夜は何食べたい?」と手料理をふるまう気でいる彼女にひと言。「今日は任せて」と告げる。
いつもと違う展開とわかった瞬間、目をきらきらと輝かせた。

車を駐車場に停めエレベーターに滑り込む。28階まで、たっぷり30秒は乗っただろうか。期待が高まる彼女を横目に、いつにない緊張感に包まれている自分がいる。

通されたのは、奥の鉄板焼きカウンター席。8席のみの艶やかな朱のカウンター中央の特等席を今夜はリザーブ。浜離宮恩賜公園を眼下に東京湾の夜景が見渡せる、最高のシートだ。

ジュッと脂がハネる魅惑的な音、食欲をそそる芳香、そして正面には東京の夜景…。「運が良ければ羽田空港に離発着する飛行機が一度に10機見えることもあるんですよ」 というシェフの言葉に、身を乗り出す彼女。

眼前でシェフの焼きさばきを見ながら、最高級の黒毛和牛のフィレ肉と赤ワインを堪能する。

フレンチ出身のシェフが供する20種以上のソースは、新鮮な驚きを与えてくれ、決して飽きることはない。

心から幸せそうにお肉を頬張る彼女を見ていると、ぐっと愛おしくなり、部屋まで待てずに言ってしまった。
「うちのメンバーコース、家族会員があるんだけど、ならない?」

一瞬、キョトンとした彼女だったが、すぐに意味を理解したのだろう。「うん、なる」とひと言。
鉄板焼きの熱か、赤ワインのせいなのか、胸が熱くなる。

『風花』を出た後は、東京湾を一望するベイビュースイートに移動し、シャンパンでささやかに乾杯。

「式はハワイで前日にはウェディングコンペをやろう!」、「焼けちゃうから式の翌日がいいな」なんて会話をしながら、2人の未来に思いを馳せた。

PROFILE

コンラッド東京 風花

港区東新橋1-9-1 コンラッド東京28F
03-6388-8745
ディナー:17:30~21:00 
82席
定休日:なし


2001年に創刊したグルメライフスタイル誌「東京カレンダー」。2017年から「東京コンプリート」をコンセプトに、東京の各エリアの上質な情報を発信する。2014年からスタートした「東京カレンダーWEB」は4,000万PVを達成。