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Number Web×MASTER BUNNY EDITION ー勝って、魅せるー Vol.6 上田桃子

「着るだけで強くなれる気がする」上田桃子が立上げから携わった思い入れのあるゴルフウエアとは?

Number Web×MASTER BUNNY EDITION ー勝って、魅せるー Vol.06

 そのキャリアと実力から日本を代表する女子プロゴルファーのひとり、上田桃子。2010年に誕生したゴルフウェアブランド、マスターバニーエディションを愛用し、そのクリエイションにも深く関わってきた。ブランドを統括するTSIホールディングスの仙座学とは、プロデビュー当時から互いによく知る間柄だ。
 「勝って、魅せる。」を体現してきた上田はブランドについてどう考えるのか、ブランドは上田をどう見ているのか。この対談から浮かび上がる契約アスリートとブランドとの関係。そして、両者が見つめる先にあるものを探る。

Hair&Make Up by Ryuji Nakashima
text by 高村将司 Masashi Takamura
photograph by Yuji Kawata

切磋琢磨を続けてきた13年

 マスターバニーエディション。ウサギの耳のロゴマークでお馴染み、今やゴルフ界に確たる地位を築いたウェアブランドだ。同ブランドとウェア契約を結ぶのが、上田桃子プロ。兄弟ブランドであるパーリーゲイツとともに、ブランドの顔となっている。

 パーリーゲイツの誕生から携わってきた仙座学上席執行役員とブランドを振り返る

仙座「桃子プロのお父さまが熊本で有名な洋服店を経営されていて、僕も親交がありました。ある日、ファックスが僕のもとに届いたんです。娘がプロになったら、お宅のウェアを着たいと。それが始まりですね」

上田「仙座さんにお会いしたら、背が高くてスタイリッシュでいらした。昔モデルをなさっていたというのもなるほど!と。こういう方のブランドなんだと、ますます憧れが増したんです」

仙座「当時、ブランドはまだパーリーゲイツだけで。僕がたまたまブランドを離れていた時期でしたが、お父さまにはお世話になっていたこともあり、ぜひと」

上田「プロになってみて、憧れのブランドのウェアを着られるのはうれしかったです。自分で着たくなるような華やかでスタイリッシュなブランドは当時、他にはなかったですからね。そういうウェアを着て戦えるのは、非常にモチベーションが上がりました」

仙座「2007年は大活躍でしたよね、賞金女王にもなって。とっても素敵な方と契約できたなと。桃子プロはひときわ輝いて見えましたよ」

上田「パーリーゲイツさまさまです(笑)。地元の熊本じゅうが沸きましたから」

高機能中綿ブルゾンにカシミヤニットを合わせたクールなコーディネイト。「軽やかで機能的なブルゾンは、保温性が抜群で冬のゴルフにおすすめ。パンツも裏起毛のボンディングで暖かなのにスポーティに見えるのがお気に入りです。ラグジュアリーなカシミヤニットもアクセントとしてバッチリ」BLOUSON ¥52,800HI NECK KNIT ¥46,200PANTS ¥33,000

 その後、2010年には、「勝って、魅せる。」を掲げてマスターバニーエディションが登場。ブランドの設立には、上田プロの存在が大きかったそうだ。

仙座「当時、華やかでファッショナブルというだけでは、物足りない思いもありましたので、それ以上に、強さや格好良さをウェアで表現していく時代になるだろうと思っていました」

上田「パーリーゲイツのウェアにも満足感がありましたが、着用するなかで、常に私はゴルファー目線での感想を現場の方にもフィードバックしていたんです。ゴルファーとして、パフォーマンスの向上のための機能も求めるようになりました」

仙座「担当者からは、大変だったって聞いていますよ(笑)。でもその黎明期がなかったら、今のマスターバニーエディションはなかった。お互いちょうどいいタイミングで、マスターバニーエディションのような存在を求めていたんですよね。ビジネス的にもユーザーの選択肢が増える点でメリットもありました」

上田「着るだけで強くなれる気がしたんです。当時、"戦闘服"のようなイメージで、というテーマもあって、非常にモチベーションが高まりましたね」

プロ19年目の上田桃子選手。シード選手の中ではベテランに入るが、あくなき探求心で勝利を目指す

1+1=2以上の成果が出せるのがウェアの強み

 上田プロをはじめとする契約プロからのリクエストと、それを反映させてスタイリッシュに落とし込んでいく現場の対応。これらが相乗効果を生んで、現在のブランドの地位を築いていったといえそうだ。

 実際、上田プロがウェアに求めているものはどのようなものだろうか。

上田「ファッションのトレンドと、アスリートとしての強さ。その両方を備えているものが理想です。ストイックなスタイルのほうが、アスリートとの相性はいいだろうなと考えています。私服でもそうですが、"似合う"というのは大事なこと。強さを表現しつつ、実際にパフォーマンスを高めてくれる機能を備えたウェアがプロゴルファーには相性がいいと思います」

仙座「こういうふうにきちんと考えを伝えてくれる点が、僕たちにとってもありがたいんです」

上田「アスリートというのは、服装だけがスタイリッシュでもダメで。格好いいウェアを着て、いいパフォーマンスを残す。1+1=2以上の実力が出せる。それができるのがマスターバニーエディションだと思います」

プレーのしやすさとシルエットの美しさが気に入ったというこちらの着こなし。「シックな色みを基調としているのが、マスターバニーエディションの魅力。一見普通なゴルフコーデですが、とっても機能的。切り替えの入ったパンツは美脚効果も感じます」KNIT ¥36,300HI NECK ¥19,800PANTS ¥33,000

仙座「桃子プロがおっしゃるように、契約プロのみなさんが、それぞれ個性を出している。裏を返すと、僕らとしては、サポートするプロをきちんと選ばせていただいているということでもあるんです。僕らが服作りのプロとして妥協なくやっているなかで、それが似合うプロに着ていただきたいと思っています」

上田「実際、あのプロに着てもらったらいいのでは? というような具体的な提案もしているんですよ」

 TSIが手掛けるマスターバニーエディションやパーリーゲイツの契約プロたちの人脈もあるという。

上田「ゴルフって個人種目だから、あまりグループになりにくいんですが、素敵な契約プロの先輩方がいらしたのは大きくて、ひとつのファミリーのように感じています。その歴史や伝統のなかに自分がいられることはありがたいです」

仙座「しかも、今の若いプロたちは、桃子プロをお手本にして、"ああなりたい、パーリーやマスターを着たい"と言ってくれています。僕らとしては、桃子プロがいてくれることで、ブランドが掲げる理想のゴルファー像をいちいち説明しなくてもいいですし(笑)」

TSIホールディングス上席執行役員の仙座氏。パーリーゲイツ、マスターバニーエディションなど多くのブランドを設立した。KNIT PARKA ¥38,500HI NECK ¥19,800PANTS ¥39,600

 

 プロからも憧れられる存在。確かにそれは、マスターバニーエディションが掲げる「勝って、魅せる。」選手という理想の姿を、上田プロが体現している証左というべきだろう。

 一方でスタイリッシュな着こなしが注目される上田プロ。勝負服、勝負カラーなど、当日の着こなしについて、流儀はあるのだろうか。

上田「ブランドが推しているシーズンカラーやデザインを最終日にもってくるということは、よくやります。ブランドの方が、旬だと思って取り入れているものは、やはり、選手たちに似合いますから」

仙座「着こなしも戦略的ですね(笑)」

上田「フィードバックが反映されていることが多いので、満足感は高いんです」

仙座「僕らは服作りのプロだから、いいウェアを作る。選手はいいプレーを魅せる。お互いプロ同士が、互いの本分をまっとうするとブランドはよくなっていく。これはコミュニケーションがよくとれている我々の強みです」

単に「勝つ」だけでは満足できないから、背景も含めて「魅せていく」
 

 シーズン当初、優勝争いに絡む活躍を見せるなど、安定した成績を見せた上田プロ。7月初頭には、全米女子オープンにも参戦。改めて、自身のプレーについても話を伺った。

上田「春先は結構いい位置でプレーできました。優勝を逃してしまって、改めて自分に何が足りなかったのかを見直して微調整する。そういう時期にきています。もちろん、必ずしもすべてがいい方向にいくわけではないですが、試行錯誤の繰り返しです。状態は悪くありません」

 このように今シーズンを振り返るも、フィジカルコンディションの維持には苦労しているようだ。

上田「気候もありますから、年齢的にフィジカルなパフォーマンスを安定的に維持することが成績を残すには大事だと思います。時折襲われる首痛や、股関節の痛みなど、細かなところは戦いながらですが、変に焦ることなく向き合えています」

 残りのシーズンで目指すところは?

上田「国内メジャーの勝利が欲しいですね。優勝自体は経験があるので、どういう勝ち方をすべきか、ディテールにこだわりながら、結果も求めたい。いつまでも格好よくありたいんです。勝ち方もそうですし、ウェアもそう。単に勝利だけでは、見る人に何も与えられないと思うんです。勝つまでのストーリーも含めて一戦一戦大事に戦いたい。自分のなかで、準備して優勝する。それが、私の"勝って、魅せる"です」

2010年のマスターバニーエディションの立ち上げから苦楽を共にした二人

 

上田プロからのフィードバックがブランドを育てた

仙座「こういう上田プロのような考えの人たちが、幸いにも集ってくれているのが、僕らのブランドだと思います。コロナ禍でゴルフビジネスが好調だったため、新たなブランドが百花繚乱。ライバルはたくさんいるわけです。そんななかで、ブランド自体も"勝って、魅せる"じゃないですが、時代のなかで、半歩先を行きたい。結果的に、お客様に飽きられることのないブランドの強さになっていくと考えています」

 ともに「勝って、魅せる」というキーワードのなかで、確かなものをつかもうとする飽くなき姿勢。強さを求めるからこそ互いに共鳴し合うその姿に、我々は心を動かされるのかもしれない。

 進化を続ける上田桃子とマスターバニーエディションからは目が離せなさそうだ。

上田 桃子 Momoko Ueda

プロゴルファー。ZOZO所属/1986、年熊本県生まれ。9歳よりゴルフをスタートし、2005年にプロ転向。2007年には、賞金女王を獲得。2008年には、米ツアーを主戦場に活躍。2012年、国内シード権を落とすも翌年すぐに回復し、その後もコンスタントに活躍している。日本ツアー通算16勝、米ツアー1勝と、華々しい成績を残している。

仙座 学 Manabu Senza

TSIホールディングス 上席執行役員/1958年、北海道生まれ。1986年サンエー・インターナショナル(現TSI)入社。のちに、自分が着たいゴルフウェアとしてパーリーゲイツを立ち上げる。2010年には、マスターバニーエディションを設立。その後、「ジャックバニー」「ニューバランスゴルフ」「セント・アンドリュース」「PINGアパレル」「PGG」「NBB WEEKEND」を展開。2014年TSIグルーヴアンドスポーツ代表取締役社長。2021年グループ再編で現職に。

Edited by Kenji Washio